自然資本とTNFD:企業が知っておくべきこと
2025-10-20
TNFD開示の「その先」へ
2025年度、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)に基づく情報開示は、企業にとって「当たり前」のプロセスとなりつつあります。しかし、開示はゴールではありません。金融機関や投資家にとっての次なるステップは、開示された情報を基に、いかにして自然資本回復(ネイチャーポジティブ)への資金フローを加速させ、同時に自身のリスクを管理するかという「実行フェーズ」への移行です。
自然資本事業における「2つのリスク」
自然資本の回復・保全を目的とした投融資(グリーンボンド、インパクト投資、生物多様性クレジットなど)を行う際、我々はリスクを大きく2つに分類して考える必要があります。
- 事業運営・商業的リスク: 市場の混乱や収益化の失敗など、従来型の投融資でも考慮されてきたリスク。
- 効果に関するリスク(Effectiveness Risk): 「期待通りの生態系回復効果が得られない」「効果は出たが計測できない」といった、自然資本特有のリスク。
特に後者の「効果に関するリスク」は、カーボンクレジット市場での教訓と同様、プロジェクトの信頼性を根底から揺るがす要因となり得ます。
科学的根拠に基づく実効性評価
この「効果に関するリスク」を最小化するために不可欠なのが、科学的根拠(エビデンス)に基づく実効性評価です。地域固有の生態系データを活用し、事前・事後の定量的な評価を行うことで、初めて「自然資本への貢献」を投資価値として適正に評価することが可能になります。
金融機関には今後、ポートフォリオ全体の管理だけでなく、個別案件における技術的な妥当性を検証する目利き力が求められます。弊社では、衛星データ解析やAIモデリングを駆使し、この「科学的実効性の担保」を技術面から強力にサポートします。